北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和元年度新発生病害虫]


ぶどうのヤマブドウハコブタマバエ(新寄主)

 

 

 

 令和元年6月上旬に、岩見沢市の醸造用ぶどう栽培園地において、ぶどう(品種:「ピノ・ノワール」)の葉に直径5mm程度の淡緑色~淡赤色水ぶくれ状の肥大が認められた。当該部位は、葉の上面、下面がやや不整形な半球状に肥大した。肥大部は空洞で、内部には体長1mm程度で白色無脚ウジ状の幼虫が認められ、この肥大部は当該虫の寄生によって形成されたゴール(虫えい)であると考えられた。この幼虫は後に淡赤色を呈し、頭部腹面には特徴的な胸骨が認められ、双翅目タマバエ科の一種であることが判明した。また、6月下旬には、ゴール下面の先端部に径1mmほどの孔が開き、幼虫はここから脱出した。葉のゴールを脱出した幼虫は、土中に入りそのまま越冬するものと考えられた。発生種は、九州大学の湯川名誉教授により、ヤマブドウハコブタマバエと同定されたが、成虫が得られておらず学名は未定である。本種は、過去に北海道、本州のヤマブドウ、九州以南のエビヅルに発生を認めている。年1世代で、幼虫は8月中旬以降に老熟して9月上旬以降に地上に落下するとされているが、当該年のぶどうにおける発生は従来と比較して早かった。

(中央農試)


ぶどうのヤマブドウハコブタマバエ(ゴール) (岩崎 原図)


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