北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和元年度新発生病害虫]


りんごのブドウワタカイガラムシ(新寄主)

 

 

 

 令和元年7月下旬、中央農業試験場(長沼町)場内の無防除果樹園において、りんごの枝にワタカイガラムシの寄生が認められた。当該カイガラムシは体長、体幅共に5mm程度で、体色が濃褐色で扁平、楕円形であり、発見時には白色の卵のうから次世代幼虫のふ化後で、周辺の葉の上・下面や葉柄には体長2mm程度で楕円形の次世代幼虫が多数着生していた。寄生を認めたのは園地内の1樹の前年新梢1本に止まるが、当該枝には10個体程度の親個体(カイガラ)が寄生していた。また、同年8月には寄生を認めた2年枝上に次世代幼虫の高密度な寄生が認められた。
 寄生したカイガラムシは、雌成虫の形態ならびにCOI領域の塩基配列に基づき、横浜植物防疫所によりブドウワタカイガラムシPulvinaria vitis (Linnaeus)と同定された。本種は広食性で寄主植物としてはりんごを含む14科30種が知られる。カナダではももに対する加害の報告があるものの、りんごでの大きな被害を報じた記録はない。なお、平成30年、令和元年には、当該園地から200mほど隔たった中央農試の別の果樹園においてカーランツへの寄生が認められている。

(中央農試)


りんごのブドウワタカイガラムシ(成虫と卵のう) (岩崎 原図)


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