北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[令和元年度新発生病害虫]
とうきの苗立枯病(新発生・病原の追加)
平成27年4月および8月、大樹町の育苗ハウスにおいて、セルトレイで育苗中のとうき(ニホントウキ)の茎が地際でくびれて枯死に至る苗立枯症状が発生し、地際にくもの巣状の菌糸が観察された。同様の症状は平成28~31年に音更町、むかわ町の育苗施設でも継続して発生し、平成30年には音更町で葉腐症状が発生した。発生個体から分離した6菌株の核数は3~18(平均6.6~7.9)個、主軸菌糸幅は6.3~12.9(平均7.3~8.4)μm、菌糸の生育適温は25~30℃で、25℃における菌糸伸長速度は27~33mm/24時間であった。これらの形態的特徴、培養菌叢および亜群特異的PCR法により、平成27年4月分離の1菌株はRhizoctonia solani Kühn AG-1 IC、それ以外の5菌株はAG-1 IBと同定された。接種試験の結果、原病徴が再現され、接種菌が再分離された。R. solani によるトウキ苗立枯病は兵庫県からAG-4の報告があるが、AG-1 ICおよびAG-1 IBによる苗立枯は未報告である。道内におけるトウキ苗立枯病の発生は本事例が初めてである。
(十勝農試・中央農試)
とうきの苗立枯病(栢森 原図)
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