北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和元年度新発生病害虫]


ばれいしょの黒あし病(病原の追加)

 

 

 

 国内において、ジャガイモ黒あし病の病原菌としてDickeya dianthicolaとPectobacterium属3種(P. atrosepticum, P. wasabiae, P. carotovorum subsp. brasiliense)が知られている。平成29年7月、後志地方のばれいしょ栽培ほ場で,茎基部の黒変腐敗ならびに茎葉の萎凋など、黒あし病に類似した症状を呈する株が見出された。発症株はいずれも種いもの腐敗を伴い、発症茎から単一の細菌が分離された。分離菌株は、上記4菌種のいずれとも異なる性状を示したため、病原菌種の同定に関する試験を進めた。分離菌株を種いもに浸漬接種し、ほ場および温室で栽培したところ、原病徴が再現され、り病部位から接種菌が再分離された。分離菌株は、炭水化物からの酸の生成や有機酸の利用能等の細菌学的性状ならびに recAおよびdnaX遺伝子の塩基配列がD. chrysanthemi (Burkholder) Samson (Dch)とほぼ一致したことから、本菌はDchと同定された。Dchによるジャガイモ黒あし病は国内において初発生である。なお、本菌種による病徴は既知4菌種によるものと同様で、外観上の区別はできない。

(北海道農業研究センター・種苗管理センター・北見農試)


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