北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[令和元年度新発生病害虫]


小麦のミドリハダニ(新寄主)

 

 

 

 平成29年6月22日、十勝地方の秋まき小麦ほ場の下葉にMicrodochium nivaleによる葉枯症状と酷似した斑紋が発生した。葉裏を顕微鏡で観察したところ白色~褐変した部位にハダニが寄生していた。本種の体型はナミハダニに似るもののやや小型で、体色は乳白色で暗緑色の斑紋を伴い、北海道植物防疫協会の中尾弘志博士、ホクサン株式会社の坂神たかね博士によりミドリハダニ Sasanychus akitanus (Ehara)と同定された。本種は、クモなどがササの葉を筒状に巻き、その葉裏に層状の網を張って集中分布することが知られており、寄生部位は白くなる。札幌では休眠卵と春に産下された夏卵がともに5月中旬に孵化し、11月下旬までに4~5世代を経過する。本種による寄生葉は平成30年と令和元年にも認められ、また十勝地方内の隣接しない他市町村でも確認されたことから、広い範囲で発生している可能性がある。ほ場内の発生場所はいずれもほ場周縁部に留まっていた。

(十勝農試)


小麦のミドリハダニ被害葉(三宅 原図)


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