北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成30年度新発生病害虫]


ぶどうのホソオビツチイロノメイガ(新寄主)

 

 

 

 平成22年8月、空知総合振興局管内の無農薬ハウス栽培ぶどうに、葉を巻いて内部で葉を食害する鱗翅目幼虫が多発生した。幼虫は葉を縁から巻き、数カ所を絹糸で止めて葉巻状の巣を作る。葉巻内には黒色の糞粒および幼虫が認められ、8月下旬には老令幼虫が主体となった。幼虫は葉巻内部が糞で充満すると新しく葉巻を形成しているものと思われた。ハウス内で発生密度の高い場所では、被害葉率が100%に達し、同一葉上の巻葉箇所が4〜5ヶ所に達する葉もあった。葉が棚面を覆う生育状況にありながら、棚下から容易に上方を見通せるような状態になっている場所もあり、光合成に対する著しい阻害が推察された。発生している幼虫は体長2cm程度、頭部は淡褐色、身体は淡緑色で、胸部背面には各節にそれぞれ2対4個の黒点を伴う。幼虫は、飼育条件下では葉の一部を切除して2枚貼り合わせた内部で越冬し、成虫は翌春羽化した。
 羽化成虫は翅の開長24mm程度、翅は不明瞭な模様を伴う黄褐色で、中央前縁寄りに黄色斑紋を伴い、ホソオビツチイロノメイガSyllepte pallidinotalis (Hampson)と同定された。本種は過去に島根県のハウス栽培ぶどうで大発生したことがある。平成22年11月に行った発生園地での調査では落葉中や樹皮上に越冬幼虫は見出せなかったが、発生園地の生産者によると、翌年以降も7月頃から同様の被害が継続していることから、本種は道内で年次をまたいで発生しているものと考えられた。

(中央農試)

写真 葉巻症状(中央農試 岩ア 原図)

写真 ホソオビツチイロノメイガ幼虫(中央農試 岩ア 原図)

写真 ホソオビツチイロノメイガ成虫(中央農試 岩ア 原図)


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