北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成30年度新発生病害虫]
トルコギキョウのべと病(新称・国内新発生)
平成30年4月下旬、留萌振興局管内のトルコギキョウ栽培農家数戸において、株が黄化し葉裏に灰色のかびが密生する症状が認められた。発病株の草丈は低く、症状が進むと葉の表にもかびが発生し、葉の奇形や茎の曲がりも観察された。育苗中および定植直後から発病し、出荷率が大幅に低下したり出荷に至らず廃耕したハウスもあった。本菌の分生子柄は、気孔から外表に形成され、叉状に分岐し、先端に掌状部がなく、楕円形〜卵形で無色〜褐色の分生子を形成する。分生子の大きさは16.2〜23.9(平均18.9)×10.6〜14.7(平均12.9)μmで発芽管を出して発芽した。分生子から抽出したDNAのrDNA-ITS領域はDDBJ/EMBL/GenBankデータベースに登録されているPeronospora chloraeと100%一致した。以上から病原菌は、Peronospora chlorae de Baryと同定された。冷凍保存したり病葉から採集した分生子懸濁液を健全株に接種した結果、原病徴が再現された。本病は国内では未報告であるため、トルコギキョウベと病と提案した。詳細は平成30年度病害虫発生予察情報第12号(特殊報第1号)を参照する。
(上川農試・技術普及課・横浜植防)
写真 密生するかび(上川農試 長濱 原図)
写真 草丈の低下した発病株(上川農試 長濱 原図)
写真 発生ハウスでの様子(上川農試 長濱 原図)
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