北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成30年度新発生病害虫]


からしなの葉腐病(新発生・病原の追加)

 

 

 

平成29年11月、比布町の冬期間無加温栽培ハウスにおいて、葉に褐色の斑点を生じ、多くは葉縁から褐変腐敗する症状が発生した。葉柄では土壌に接する株元部分に褐色のくぼんだ病斑を生じ、腐敗した。り病部からは単一の糸状菌が高率に分離され、分離菌の接種により原病徴が再現された。分離菌の核数は4~16(平均9.6)個、主軸菌糸幅は6.8~10.9(平均8.9)μm、菌糸の生育は5~30℃で認められ、適温は25℃で、25℃における菌糸伸長速度は12.6mm/24時間であった。これらの特徴、菌糸融合反応、培養菌叢および特異的PCR検定より分離菌はRhizoctonia solani Kühn AG-2-1(培養型II)と同定した。R. solani によるからしなの病害として日本植物病名目録ではAG-1ⅠBによる葉腐病が記載されているが、AG-2-1による病害は未報告である。道内におけるカラシナ葉腐病の発生は本事例が初めてである。

(上川農試・道南農試)

写真 葉縁からの褐変腐敗(上川農試 長濱 原図)

写真 葉柄基部の褐変腐敗(上川農試 長濱 原図)


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