北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成30年度新発生病害虫]


ねぎの根腐病(新発生)

 

 

 

 平成29年6月、北斗市の露地栽培のねぎ(定植1ヶ月後)で生育遅延症状が発生した。被害株の草丈は健全株の半分程度であり、株を引き抜くと根は軟化・腐敗していた。発病部からは単一の糸状菌が分離され、接種により原病徴が再現された。分離菌は単独培養で有性器官を形成し、造卵器の大きさは16.4〜23.9(平均 20.5)μmで、表面には1〜2本の棘が認められた。造精器は主に同菌糸性で造卵器に1個付着した。卵胞子の大きさは12.6〜20.1(平均 16.9)μmで、非充満性であった。また、球形から倒卵形のhyphal swelling(大きさ 13.6〜25.8μm)を形成した。CMA培地上での菌糸生育は10〜35°Cで認められ、最適温度は25〜30°Cであった。以上の特徴はPythium irregulare Buismanと一致した。分離菌のrDNA-ITS領域を解析した結果、P. irregulareの配列と100%一致した。以上より分離菌をP. irregulare、本病をネギ根腐病と同定した。

(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)

写真 根が腐敗した株 右側3株(道南農試 三澤 原図)


写真 根腐病による生育遅延(道南農試 三澤 原図)


写真 根腐病による生育遅延 右から2列目(道南農試 三澤 原図)


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