北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成29年度新発生病害虫]


トリカブトの立枯病(新称・国内新発生)

 

 

平成276月に千歳市のトリカブト(オクトリカブト:Aconitum japonica)において立枯症状が発生した。発病株の茎地際部および根は腐敗し、重症株は株全体が黒変し枯死した。圃場から採取したり病植物からは高率にRhizoctonia属菌が分離された。分離菌の核数は平均9.4個、主軸菌糸幅は6.910.2μm(平均8.5µm)菌糸生育は1535℃で認められ、適温は25℃、25℃における菌糸伸長速度は16.5mm/24時間であった。分離菌から抽出したDNAを鋳型としてRhizoctonia solani AG-5を特異的に検出するプライマーを用いたPCR法を行った結果、予想された長さのDNA断片が増幅された。rDNA-ITS領域の塩基配列は既報のR. solani AG-5の配列と99.9%一致したため分離菌をR. solani AG-5と同定した。分離菌をトリカブトに接種した結果、原病徴が再現され発病株からは接種菌が再分離された。Rhizoctonia属菌によるトリカブトの病害は国内未報告であるため、本病をトリカブト立枯病と提案した。

(中央農試・道南農試・石狩農業改良普及センター本所)

写真 トリカブトの立枯病(中央農試 森 原図)


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