北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成29年度新発生病害虫]


花ゆりの株腐病 (新発生)

 

 

 

 

平成24年4月、由仁町において萌芽期の花ゆり(品種「シーラ」)に生育異常が発生した。発病株では、萌芽遅延および葉・茎・球根に水浸状の褐色病斑を形成した。罹病部からは単一の糸状菌が分離された。分離菌は、菌糸幅5.910.2(平均8.1)µm、核数は3~13 (平均7.7)個、菌糸は先端細胞の隔壁の直下で分岐し、分岐部はくびれ、分岐部の直近に隔壁を形成し、かすがい連結を形成しなかった。以上の形態的特徴より分離菌株をRhizoctonia solani Kühn、本病をユリ株腐病と同定した。分離菌の菌糸融合群(AG)rDNA-ITS領域の塩基配列に基づきAG-11と同定された。本病は高知県(AG-4 HG-I)および山形県(AG-2-1)で発生が報告されているが、道内では未報告である。また、我が国ではこれまでR. solani  AG-17が各種作物および土壌から分離されているが、AG-11が分離されたのは、今回が初めてである。

(道南農試・十勝農試・CABI-UK・花野セ・秋田県立大学・空知農業改良普及センター空知南東部支所)

写真 花ゆりの株腐病(十勝農試 栢森 原図)


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