北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成29年度新発生病害虫]
かんしょの灰色かび病(新発生)
平成28年12月、北斗市で収穫後に貯蔵したかんしょ塊根の内部が褐変し萎れ、表面に黒色の菌核を形成する病害が発生した。発病塊根からは単一の糸状菌が分離され、接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌の分生子柄は単生し、長さ1.2〜2.3mm、幅10.0〜16.1μm、基部は淡褐色で先端部は無色、分岐を持ち、主軸と分岐部の先端はやや膨れ、その表面から房状に全出芽型により分生子を密生した。分生子は、楕円形〜倒卵形、無色〜淡褐色で、大きさは平均12.4×7.3μmで、l/b(長さ/幅)比は1.70であった。PDA培地上の菌叢は灰色で、培地上には直径1.5〜4mmの淡黒色の菌核の形成を形成した。以上から、分離菌はBotrytis cinerea Persoon : Friesの記載とほぼ一致した。分離菌から抽出したDNAを鋳型として、B. cinerea種特異プライマー(Rigotti et al. 2006)を用いたPCRを行ったところ、約480bpのDNA断片が増幅され、形態による同定結果が支持された。以上より分離菌をB. cinerea、本病をサツマイモ灰色かび病と同定した。
(道南農試))
写真 かんしょの灰色かび病(道南農試 三澤 原図)
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