北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成29年度新発生病害虫]


ねぎの白絹病(新発生)

 

 

 

 

 平成28年8月、北斗市で定植3ヶ月後のねぎ(露地栽培)の外葉が枯死する症状が発生した。発病株の地際部付近の葉鞘部は外側から数枚が褐変し、それとつながった葉身が枯死した。土壌表面には白色の菌糸および直径約1mmで淡褐色の菌核を形成した。発病部からは単一の糸状菌が分離され、接種により原病徴が再現された。分離菌はPDA培地で白色、植菌した部位から放射状の紋様を形成し、培地上に菌核を形成した。菌核の表面は赤褐色、内部はクリーム色、亜球形〜長球形、大きさ1.15.3mmであった。分離菌は胞子を形成せず、菌糸は無色で隔壁があり、主軸菌糸は無色で隔壁にはかすがい連結を形成した。分離菌rDNA-ITS領域を解析した結果、Sclerotium rolfsii Saccardoの配列と100%一致した。以上より分離菌をS. rolfsii、本病をネギ白絹病と同定した。本種は多犯性で本州以南では多くの作物に白絹病を引き起こす重要な病原である。一方、北海道では平成12年9月に空知管内のサンダーソニアで本種による白絹病が発生した記録があるのみである。

(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)

写真 ねぎの白絹病(道南農試 三澤 原図)


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