北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成29年度新発生病害虫]


レタスのオカボノアカアブラムシ(新寄主)

 

 

 平成29年4月中旬に、浦臼町の施設内水耕栽培レタスの根部に、アブラムシの寄生が認められた。アブラムシは体長1.5mm程度、体色はくすんだ淡褐色で、身体の前方はやや緑色を帯びた。寄生個体は、帯広市の鳥倉英徳氏により、オカボノアカアブラムシ(ヤサイネアブラムシ)Rhopalosiphum rufiabdominale (Sasaki)と同定された。本種はイネ科植物の根に寄生する一方、キク科を含む多様な双子葉植物の根にも寄生することがある。確認された時期が4月と早いことから、この個体群は前年秋季以前に施設内に入り込み、施設内に定着していた可能性が高い。同年6月中旬にも同様の寄生が認められた。一方、施設内に設置した粘着トラップにはアブラムシの有翅虫が捕捉されなかった。これらのことから、施設内において、アブラムシは歩行により新しい作型のレタスに移動しながら世代を繰り返しているものと考えられた。寄生はほぼ根部に限られ、寄生密度は低く、今回の発生レベルではレタスの生育や収量への影響は少ないと考えられた。地上部への寄生もほとんど認められず、通常の土耕栽培では本種が問題になることはないものの、水耕栽培では、収穫したレタス茎葉にアブラムシが混入することが懸念される。

(中央農試)

写真 レタスのオカボノアカアブラムシ(中央農試 岩ア 原図)

写真 レタスのオカボノアカアブラムシ(中央農試 岩ア 原図)


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