北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成29年度新発生病害虫]
にんじんの黒色根腐病(新発生)
平成28年4月、北斗市の越冬にんじんで葉柄基部と根部の上部(葉柄基部の周辺)が黒変・腐敗する症状が発生した。腐敗は根の上部数mmのみで内部は腐敗しなかった。罹病部からは糸状菌が分離され、接種により原病徴が再現された。分離菌の分生子は、無色、倒棍棒状、大きさ84〜215μm×6.7〜12.1μm、4〜13隔壁および両端に付属糸を有した。厚膜化細胞は褐色、球形〜樽型、大きさは14.1〜32.6μm×10.1〜22.8μm、1〜2室であった。分離菌のrDNA-ITS領域を解析した結果、Mycocentrospora acerina (R. Hartig) Deightonの配列と99%一致した。以上より分離菌をM. acerina、本病をニンジン黒色根腐病と同定した。本病は、1980年代に青森県の越冬にんじんに大きな被害をもたらした病害として報告されている。
(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)
写真 葉柄の黒変・腐敗(道南農試 三澤 原図)
写真 葉柄基部の黒変・腐敗(道南農試 三澤 原図)
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