北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成29年度新発生病害虫]


ばれいしょの黒あし病(病原菌の同定)

 

 

 

日本国内におけるジャガイモ黒あし病の病原は4種の細菌が記載されている。そのうちDickeya sp. およびPectobacterium carotovorumの血清学的に特異な一系統の2菌種について、昭和47〜平成28年に分離保存したDickeya sp.の23菌株およびP. carotovorumの 24菌株を供試し再同定試験を行った。供試菌株は、生育温度反応や炭水化物と有機酸の利用能などの細菌学的性質、IGS領域ならびに各種ハウスキーピング遺伝子の塩基配列に基づく分子系統解析の結果から、Dickeya sp.が D. dianthicola Samson et al.、P. carotovorumP. wasabiae (Goto & Matsumoto) Gardan et al.と同定された。
両菌種とも諸外国においてジャガイモ黒あし病の病原菌として報告されている。なお、 D. dianthicolaは国内においてカーネーション立枯細菌病の病原菌として報告があり、ほかにチコリーやカランコエ、ヤーコンの軟腐症状株からも分離されている。

                                                          (十勝農試・北海道農業研究センター・種苗管理センター)


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