北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成28年度新発生病害虫]
トルコギキョウの炭そ病(新発生)
平成25年5月、後志地方において、定植直後のトルコギキョウ(品種「ラブミーブルーピコティ」)の2〜3対目の葉に、淡褐色円形のやや陥没する症状が発生した。病斑が葉の基部に発症した場合、そこから進展して苗全体が萎れる株もみられた。また、病斑の中央部にはオレンジ色の分生子塊が観察された。病斑部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌を接種すると原病徴が再現され、その発病部からは接種菌が再分離された。分離菌のPDA培地上での培養菌叢は、はじめ白色のちに灰色となり、裏面は淡赤色〜赤色を帯びた。PDA培地上での分生子は両端が尖った紡錘形で、大きさは4.9〜10.3×2.4〜4.4μm、縦横比2.42であった。さらにColletotrichum
acutatum種複合体特異的プライマーを用いたPCRおよびβ-tublin2遺伝子の解析結果から、分離菌をColletotrichum
fioriniae、本病をトルコギキョウ炭そ病と同定した。
(中央農試・道南農試・花野セ)
写真 苗に発生した葉枯症状(後志農改 寺西 原図)
写真 鮭肉色の分生子塊(中央農試 西脇 原図)
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