北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成28年度新発生病害虫]


ほうれんそうのべと病(新レースの出現)

 

 

  平成286月、七飯町のハウス栽培ほうれんそう(品種:「カイト」:べと病レース18抵抗性)で、葉表に淡緑色・類円形で直径約3cmの病斑を生じ、葉裏には灰色〜灰紫色のビロード状のかびを密生した。病斑部を顕微鏡で観察すると、透明で複数回叉状に分岐し、先端に分生子を着生した分生子柄が認められた。分生子は、無色、単胞で大きさ約20×30μmの楕円形であったことから本症状をPeronospora farinosa f. sp. spinaciae によるホウレンソウべと病と同定し、レース8抵抗性品種におけるべと病の発生を確認した。道内では平成17年にはレース5抵抗性の「プリウス」を侵すレース6または7の出現が確認さている。今回発生したべと病のレースは明らかではないが、レース8抵抗性品種が発病したのは本事例が初めてである。道外では、平成22年に岐阜県、徳島県、山口県、宮城県、奈良県等でレース17抵抗性品種が侵される事例が相次いで確認された。その後、平成26年に奈良県で、平成27年に徳島県でレース110抵抗性品種、平成28年に岐阜県でレース111抵抗性品種、平成27年には徳島県でレース112抵抗性品種での発病が確認されている。なお、国内ではレース115に対する抵抗性品種が市販されている。

                                                        道南農試・渡島農業改良普及センター・技術普及課

写真 ほうれんそう葉裏の病斑(道南農試 三澤 原図)


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