北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成27年度新発生病害虫]
ホソバオケラのキタネコブセンチュウ(新寄主)
平成27年4月、十勝地方においてホソバオケラ(Atractylodes lancea)(別名ソウジュツ)の収穫物根部に、直径1〜3mmのゴールが認められた。同様の症状は平成27年10月、十勝、後志および石狩地方の農家ほ場においても認められた。これらのゴールからは細根が伸長しており、ゴールの外部にはしばしば線虫の卵のうが認められた。また、ゴール内部には洋なし型の雌成虫をはじめ様々な齢期の線虫が観察されたため、ネコブセンチュウ類の関与が疑われた。ゴールを分解して得られた雌成虫の会陰門パターンおよび雄成虫の形態的特徴はキタネコブセンチュウと類似した。また、雌成虫あるいは雄成虫から抽出したDNAをPowers and Harris (1993)のプライマーを用いてPCRにより増幅したところ、得られた増幅断片のサイズは既知のキタネコブセンチュウのそれと一致した。これらのことから、本線虫をキタネコブセンチュウ Meloidogyne hapla Chitwood と同定した。本種は、イネ科植物およびすいかなどの作物を除く多くの作物に寄生するが、国内においてホソバオケラに寄生したという記録はない。
(十勝農試・農研機構北海道農業研究センター)
写真 ホソバオケラの根に形成されたこぶ症状(十勝農試 東岱 原図)
写真 キタネコブセンチュウの特徴であるこぶからの岐根(十勝農試 東岱 原図)
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