北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成27年度新発生病害虫]
なしのチャノキイロアザミウマ(新寄主)
平成27年7月下旬、北斗市のなし園(和なし、洋なしの混植、露地栽培)において、徒長枝及び新梢の葉が褐変・硬化し、果実がかすり状となる被害が発生した。被害部位には多数のアザミウマの寄生が確認された。採集した成虫の体長は0.8〜1mm、体色は黄色で、翅はやや暗色がかっている。前胸に横走する明瞭な刻紋(しわ)があり、腹部背板の両側縁付近に微細な刺毛を有する。これらの形態から本種をチャノキイロアザミウマScirtothrips dorsalis Hoodと同定した。本種は、かんきつ、かき、ぶどうなどの重要害虫であり、バラ科、ブドウ科、マメ科、ミカン科など100種以上の寄主植物が報告されている。北海道においてもぶどう、ブルーベリーおよびトルコギキョウで加害事例が報告されている。北海道における本種の発生生態は不明であり、今後の発生地域拡大に注意を払う必要がある。
(道南農試・技術普及課)
写真 チャノキイロアザミウマにより褐変した葉(技術普及課 小坂 原図)
写真 表皮がかすり状となった果実(技術普及課 小坂 原図)
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