北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成27年度新発生病害虫]


きゅうりの黒斑病(病原の追加)

 

 

  平成24年7月、江別市のハウス栽培きゅうり(品種「オーシャン」)において、葉に褐色の斑点を生じる病害が発生した。はじめ葉の表面に数mmの乳白色斑点を生じ、後に直径2〜3cm程度の褐色輪紋となり、やがて病斑中央部に黒色粉状物(分生子)が認められた。病斑部からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種によりきゅうりに原病徴が再現されるとともに接種菌が再分離された。分離菌の宿主範囲を調査したところ、あぶらな科、セリ科、ナス科植物には病原性を示さず、ウリ科のメロン、すいか、かぼちゃおよびズッキーニに病原性を示した。分離菌の分生子柄はシンポジアルに再伸長した。分生子は、分生子柄先端に4〜12個連鎖して形成し、側鎖を形成し、分生子の大きさは12.3〜31.4 × 6.3〜13.0 μm、卵形〜倒棍棒状、縦横に石垣状に隔壁を有し、偽けい部は1〜2細胞であった。これらの形態的特徴は、Alternaria alternata (Fries) Keisslerおよび香川県で発生した同種によるキュウリ黒斑病の病原菌(楠・窪田 2014)とほぼ一致したことから、本病をA. alternata によるキュウリ黒斑病と同定した。これまで道内で発生報告のあるキュウリ黒斑病(A. cucumerina (Ellis & Everhart) JA Elliott)に本種を新たに病原として追加する。

                                                        (中央農試・石狩農業改良普及センター)

写真 きゅうりの葉に形成された黒斑病の病斑(中央農試 小松 原図)


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