北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成27年度新発生病害虫]
ブロッコリーの菌核病(新発生)
平成19年7月、せたな町の露地栽培ブロッコリー(品種:「ピクセル」)で収穫期に茎地際部が軟化・腐敗する症状が発生した。発病株は、地際部より下の茎が褐色・水浸状に軟化・腐敗し、病変部上に直径2〜5mm程度の黒色の菌核を形成した。地上部への病変の進展は1〜2cm程度であった。発病株の地上部は萎れた。発病株からは、単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌のPDA培地上での培養菌叢は淡褐色〜白色で、大きさ3〜8 × 2〜5mm、球形〜長球形の黒色菌核を形成した。これらの培養性状は、Kohn (1979)によるSclerotinia sclerotiorumの記載とほぼ一致した。分離菌の菌核は発芽したが、子のう盤の形成には至らず、形態的特徴による同定はできなかった。分離菌のrDNA-ITS領域の塩基配列はS. sclerotiorum のものと100%一致した。以上より分離菌をS. sclerotiorum(Libert)de Bary、本症状をブロッコリー菌核病と同定した。
(道南農試・檜山農業改良普及センター)
写真 ブロッコリーの地際部に形成された菌核(道南農試 三澤 原図)
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