北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成27年度新発生病害虫]


かぶの菌核病(新発生)

 

 

  平成21年4月、北斗市内のハウス栽培かぶ(品種:「玉里」)で、収穫期に根が褐変・腐敗する症状が発生した。発病株は、はじめ根の葉柄基部付近に白色の菌叢を形成し周囲が水浸状に軟化した。やがて病変部は根表面全体の半分程度まで拡大し、淡灰色・水浸状に軟化・腐敗し、病変部上には直径2〜10mm程度の濃褐色〜黒色(稀に乳白色)の菌核を形成した。病変部は外葉の葉柄基部(長さ3〜5cm)にも進展し、発病株の地上部は萎れた。発病株からは、単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌のPDA培地上での培養菌叢は淡褐色〜褐色で一部白色、菌核は黒色・長球形で2〜3個が融合することがあり、大きさは2〜6 × 2〜4mmであった。これらの培養性状はKohn (1979)によるSclerotinia sclerotiorumの記載とほぼ一致した。分離菌の菌核は発芽したが、子のう盤の形成には至らず、形態的特徴による同定はできなかった。分離菌のrDNA-ITS領域の塩基配列はS. sclerotiorum のものと99.9%一致した。以上より分離菌をS. sclerotiorum(Libert)de Bary、本症状をカブ菌核病と同定した。 

                                                        (道南農試・渡島農業改良普及センター)

写真 かぶの菌核病初期病斑(道南農試 三澤 原図)

写真 菌核が形成されたかぶの根(道南農試 三澤 原図)


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