北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成27年度新発生病害虫]


なたねの雪腐菌核病(病原の追加)

 

 

  平成22年4月、芽室町、滝川市および赤平市のなたね(品種「キザキノナタネ」)で葉が萎れ、生長点が腐敗して枯死する症状が発生した。枯死葉や腐敗した生長点近くには暗褐色、球形で直径1〜2mmの菌核が付着していた。菌核からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌の菌糸にはかすがい連結がみられ、菌核からは1〜4cmの白色で棍棒状の子実体が形成され、担子器は4胞子性であった。また、分離菌はPDA培地上でニンジン雪腐小粒菌核病菌Typhula variabilisのモノカリオンと交配した。これらのことから、分離菌をT. variabilisと同定した。なたねの雪腐菌核病としては、 Sclerotinia nivalis、TyphulaishikariensisT. incarnataおよびT. japonicaがこれまで確認されているが、本種によるナタネ雪腐菌核病の発生が確認されたのは、本事例がはじめてである。

                                                        (北見農試・十勝農試)

写真 越冬後のなたね葉に形成されたT. variabilisの菌核(北見農試 池田 原図)


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