北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成27年度新発生病害虫]
ばれいしょのモザイク病(新系統の出現)
平成26年7月に空知、石狩およびオホーツク地方、平成27年7月に空知、後志地方の一般栽培ほ場からモザイク症状を呈したばれいしょの葉を採集し、免疫学的手法(ELISA法)により検定を行ったところ、ジャガイモYウイルス(PVY)が検出され、その系統は、O系統ではなくN系統(PVY-N)と考えられた。これらのサンプルのうち、延べ12サンプルについて遺伝子解析を行ったところ、11サンプルにおいて国内他地域や海外で発生が確認されている塊茎えそ系統(PVY-NTN系統)であることを確認した。既報によるとPVY-NTN系統は、貯蔵後のばれいしょ塊茎にえそ症状(陥没、みみず腫れ、表皮下の内部黒変など)を引き起こし、長崎県では「デジマ」および「ニシユタカ」で激しい症状を呈することが知られている。しかし、これまで道内ではPVY-NTN系統による塊茎えそ症状については自然発生および接種試験においても確認されていない。現在のところELISA法やイムノストリップ法などの免疫学的手法ではPVY-NとPVY-NTNを区別することができないため、本系統の発生を特定するためには遺伝子診断が必要である。
(中央農試)
写真 PVY-NTN系統による「キタアカリ」での地上部病徴(中央農試 野津 原図)
写真 PVY-NとPVY-NTN系統を判別するための遺伝子診断結果(中央農試 野津 原図)
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