北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成27年度新発生病害虫]


ばれいしょのジャガイモシロシストセンチュウ(国内新発生)

 

 

  平成27年7月下旬、網走市のジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種(「コナユキ」および「サクラフブキ」)を栽培している一部ほ場において、株の生育不良あるいは下葉の黄化症状が認められた。これらの株を引き抜いてみると、根の表面にはジャガイモシストセンチュウに類似する球形の雌成虫が多数着生していた。その色彩は、大部分が乳白色で、一部の成熟個体のみが赤褐色を呈していた。このシストセンチュウは、農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センターおよび農林水産省横浜植物防疫所により、国内未発生であったジャガイモシロシストセンチュウ Globodera pallida (Stone) Behrensと同定された。
本種は南アメリカ原産で、ヨーロッパ諸国のほか、ロシア、カナダ、アメリカ、インド、パキスタン、トルコ、ニュージーランドなどに分布している。我が国では輸入植物検疫の対象となる病害虫で、国内への侵入防止対策がとられてきた。国外の既発生地域では、ばれいしょに著しい減収被害を及ぼすことが知られており、抵抗性品種の開発も進められている。現在のところ、道内へ侵入した個体群のパソタイプは明らかになっておらず、国内の既存品種が本種に対する抵抗性を有するかどうかは明らかになっていない。今後、発生地域の拡大が懸念されるため、拡散防止対策の徹底が必要である(詳細は「平成28年に特に注意を要する病害虫」を参照)。

                                                        (北見農試・農研機構北海道農業研究センター・網走農業改良普及センター

写真 「サクラフブキ」に付着したシスト(北見農試 小野寺 原図)

写真 ジャガイモシロシストセンチュウ未成熟シストの拡大写真(北見農試 小野寺 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る