北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]

               

       かのそうの半身萎凋病(新称・国内新発生)

 

  平成258月、江別市のかのそう栽培場において、株が黄化しやがて枯れ上がる症状が発生した。症状を呈した株を抜き取り、地際部を切断すると維管束の褐変がみられ、顕微鏡で組織切片を観察したところ導管内に糸状菌の存在が確認された。常法により糸状菌を分離したところ、比較的生育が遅く、培地上で車軸状の分生子柄を形成する糸状菌が2種類分離されたことからVerticillium 属菌による病害が疑われた。各分離菌の分生子懸濁液をポットで生育した健全株の土壌に灌注接種したところ、接種30日後に株の黄化や萎れが観察され、発病株から接種菌が再分離された。1つは微小菌核を形成したことからV. dahliae Klebahn と判断された。もう1つは微小菌核を形成せず、厚膜胞子を形成した。また、rDNA ITS 領域の塩基配列を解析したところ、Gibellulopsis nigrescens 99%一致した。これらのことから分離菌をG. nigrescens (Pethybr.) と同定した。本症はこの2種によるかのそう病害であり、病名を半身萎凋病(新称)と提案した。

                                                                    (中央農試)

20-01

写真 かのそうの半身萎凋病(小松 原図)

 

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