北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]

               

    ブルーベリーの炭疽病(新発生・病原の追加)

 

  平成258月、七飯町のブルーベリーで収穫期の果実が萎れ、果実表面にオレンジ色のかびが密生する症状が発生した。罹病果実からはPDA培地上で赤色と灰色を示す2菌株の糸状菌が分離され、両菌株の接種により原病徴が再現された。PDA培地上の分生子は前者が7.412.6 (平均9.6)µm× 2.84.6 (平均3.5)µm、縦横比3.17、後者が9.416.4 (平均12.7)µm× 3.34.8 (平均4.1)µm、縦横比3.23であった。付着器は楕円形〜屈曲した楕円形、大きさは前者が7.313.9 (平均10.1)µm× 4.17.1 (平均5.6)µm、後者は7.514.4 (平均10.6)µm× 4.57.3 (平均5.7)µmであった。両菌株から抽出したDNAからはColletotrichum acutatum 種複合体特異プライマーによって予想されるサイズのDNA断片が増幅された。上記の形態的特徴は、Sato and Moriwaki (2013)の同種複合体の構成種の検索表により、前者はC. fioriniae (Marcelino & Gouli) R.G. Shivas & Y.P. Tan、後者は同C. nymphaeae  (Passerini) Aaと同定された。さらに、両菌株のβ-tublin-2遺伝子の塩基配列を解析した結果、両菌株とも形態による同定結果が支持され、本病をブルーベリー炭疽病と確認した。道内では、これまで本病の発生記録はない。

  また、国内では、これまでに本病の病原としてC. fioriniae C. gloeosporioides (Penzig) Penzig & Saccardoが報告されているが、新たに C. nymphaeae による本病の発生を確認した。

                  (道南農試・農業生物資源研究所・渡島農業改良普及センター本所)

 

18-01

写真 ブルーベリーの炭疽病 (堀田 原図)

 

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