北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]

               

    スターチスのべと病(新称・国内新発生)

 

  平成256月、空知北部地域において、ハイブリッドスターチス (Limonium spp.) 品種「ミスティブルー」で中・上位葉が黄化する症状が発生した。黄化株では葉裏を中心にビロード状に白〜灰色のかびが密生している病斑が確認された。本症状はハウス全体にまん延し、抽台茎にも発生したため採花不能となった。この糸状菌の分生子柄は気孔から外表に現れ、長さ155- 390 µm、幅6- 11 µm、無色、4-7回二又分岐で円錐形の先端部(長さ2-7 µm)に分生子を形成した。分生子は卵〜球形、無色、大きさ13- 21× 12- 17 µmであった。また葉組織内に黄〜茶色、球形で27- 34 µmの卵胞子が観察された。これら形態とLimonium属に寄生することから、本菌をPeronospora statices Lobikと同定した。またP. staticesの塩基配列はDDBJ/EMBL/GenBankに登録はないが、rDNA-ITS領域の塩基配列はP. chenopodiiP. bulbocapni等と96%以上一致し、Peronospora属菌であることが支持された。これまで国内で本病害の自然発生の報告はないことから病名をスターチスべと病(新称)と提案した。なお、平成26年にも前年度発生圃および同地域別場で本病の発生を確認している。

                      (花野セ・花研究所・空知農業改良普及センター北空知支所)

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写真 スターチスのべと病 (西脇 原図)

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写真 スターチスのべと病 (西脇 原図)

 

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写真 スターチスべと病菌 (西脇 原図)

 

 

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