北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
アスパラガスの疫病(新発生)
平成22年頃より、美唄市の露地アスパラガスほ場において、萌芽不良や欠株症状の発生が認められた。り病した若茎は湾曲し内部が腐敗する。養成茎上では、初め水浸状の病斑が形成され、後に病斑の周縁は褐色となる。地下のりん芽群や貯蔵根は褐変、腐敗し、茎葉は黄化して生育が抑制される。症状が激しい場合は欠株となる。り病部からは同一の糸状菌が分離され、分離菌はV8寒天培地上で多数の卵胞子を形成した。同株性で造精器は底着、卵胞子は非充満性で直径19〜34 (平均28) μm。厚壁胞子は形成しない。遊走子のうは非脱落性で内・外部増殖性、長さ29〜52 (平均42) μm、幅24〜31 (平均28) μm、卵〜倒洋梨型。大部分は乳頭突起を持たないが、遊走子分化する頃に乳頭突起が形成されるものもある。これらの形態的特徴とrDNA-ITS領域の塩基配列から病原菌をPhytophthora asparagi Saude & Hausbeckと同定した。本病は平成26年に上川、十勝地方でも発生が認められている。
(酪農学園大・秋田県立大・(株)ホクサン・中央農試)
写真 アスパラガスの疫病 (児玉 原図)
写真 アスパラガスの疫病 (児玉 原図)
アスパラガスの疫病 (児玉 原図)
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