北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
リーキの白斑葉枯病(新称・国内新発生)
平成23年および24年の5月、北斗市でハウス育苗中のリーキに白斑症状が発生した。り病株の葉身には長さ1〜15 mmの白色紡錘形病斑を形成した。病斑部からは単一の糸状菌が分離され、分離2菌株をリーキに接種したところ原病徴が再現され、接種菌が再分離された。分生子柄(長さ500 µm以下、幅7.8〜16.7 µm)は先端部付近で分岐し、分生子を房状に形成した。分生子は、無色〜淡褐色、楕円形〜倒卵形、大きさは11.7〜22.7× 7.1〜12.0 µm (縦横比1.77)および12.1〜24.0× 8.4〜13.2 µm (同1.66)であった.Allium属植物に感染する5種Botrytis属菌を識別できるPCR-RFLP法 (Nielsen et al. 2002)で分離菌を解析した結果、 B. cinereaと一致した。一方、B. cinerea特異的PCR反応 (Rigotti et al. 2006)では、DNA断片の増幅が確認さなかった。分生子はB. cinereaより明らかに大きく、PCR-RFLPと特異的PCRでの同定結果が一致しなかったことから種名については保留するが、本症状はBotrytis sp.によるリーキの病害であることを確認した。本病は国内未報告であるためリーキ白斑葉枯病と呼称することを提案した。
(道南農試)
写真 リーキの白斑葉枯病(三澤 原図)
写真 リーキの白斑葉枯病(三澤 原図)
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