北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
たまねぎの灰色腐敗病(病原の追加)
たまねぎの灰色腐敗病菌(Botrytis allii)については、形態観察および分子生物学的手法による分類の変更が提案された。平成21〜24年にかけて、北海道内で発生したタマネギのりん茎腐敗症状から分離した菌株について、新たな種分類に基づき、分生子の核数、形態、およびPCR-RFLPによる遺伝子解析を行い種の同定を行った。その結果、分生子はいずれも核数が1〜2個、分生子サイズは7.2〜13.3× 4.7〜8.2µmであった。PCR-RFLP解析では、413bpのみまたは413と298bpにバンドを示す2つのグループに分かれ、前者をBotrytis aclada Fersen、後者をB. allii Munnと同定した。いずれの菌株もタマネギりん片に病原性を示したことから、北海道で発生しているたまねぎりん茎の灰色腐敗症状が、B. acladaとB. alliiの両種によって引き起こされていることが明らかとなった。現在国内ではタマネギ灰色腐敗病の病原としてB. alliiのみが報告されているため、病原にB. acladaを追加した。
(中央農試)
写真 たまねぎの灰色腐敗病初病球(野津 原図)
写真 たまねぎの灰色腐敗病初病球(野津 原図)
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