北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
ほうれんそうの白斑病(新発生・病原の追加)
平成23年11月、北斗市のハウス栽培ほうれんそう(品種:「七之助」および「ハンター」)で収穫期の葉に淡褐色、円形〜楕円形、直径1〜7 mmの斑点を形成する症状が発生した。本症状の発生は100坪ハウス15棟で認められ、発病株率は100%であった。り病部からは単一の糸状菌が分離された。分離菌の分生子柄は、長さ25.7〜98.7× 幅4.4〜6.2 µm、半透明で先端が褐色となり膨潤し(7.3〜9.9 µm)、貫生により再伸長し、先端部に分生子を単生した。分生子は長方形〜長楕円形、褐色、縦3〜7、横1〜3の隔壁を有し、1〜3の横隔壁でくびれた。大きさは平均45.0× 22.0 µm(縦横比=2.05)であった。以上の形態的特徴より分離菌をStemphylium vesicarium (Wallroth) Simmonsと同定した。分離菌をほうれんそうに接種した結果、原病徴が再現され、接種菌が再分離された。以上より本症状をS. vesicariumによるホウレンソウ白斑病と確認した。道内では本病の発生は本事例が初めてである。国内では、本病の病原としてS. botryosum Wallrothが報告されている(酒井ら 2002)が、S. vesicariumは未報告であるため、同種を病原として追加した。
(道南農試・農業環境技術研究所・渡島農業改良普及センター本所)
写真 ほうれんそうの白斑病(三澤
原図)
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