北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]


         
しゅんぎくの炭疽病(新発生)

 

  平成2589月、北斗市の露地しゅんぎく(品種:「さとゆたか」、46葉期)で葉身に褐色・楕円形不整形の斑点を形成し、中心葉で発生すると株全体が枯死する症状が発生した。り病葉からは単一の糸状菌が分離され、分離菌の接種により原病徴が再現された。PDA培地上の分生子は6.413.0 (平均10.0) µm× 3.24.9 (平均4.0) µm、縦横比2.51であった。分離菌のDNAからはColletotrichum acutatum 種複合体特異プライマーによって予想されるサイズのDNA断片が増幅された。上記の形態的特徴を、Sato and Moriwaki (2013)の同種複合体の構成種の検索表と照会したところ、分離菌はColletotrichum chrysanthemi (Hori) Sawadaと同定された。さらに、分離菌のβ-tublin-2遺伝子の塩基配列を解析した結果、形態による同定結果が支持され、本病をシュンギク炭疽病と確認した。本病はこれまで道内で発生記録がなく、また本種による他作物病害の発生記録もない。本種は、しゅんぎく、べにばな、きんせんかに病原性を示す。

                                      (道南農試・渡島農業改良普及センター本所)

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写真 しゅんぎくの炭疽病(三澤 原図)

 

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写真 しゅんぎくの炭疽病(三澤 原図)

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