北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]


   
にんじんの黄化病(新発生)

 

  平成268月頃より、上川、十勝、オホーツク地方のにんじんほ場において、上位葉から中位葉が退緑し、下位葉では黄色から赤色化する症状が発生した。にんじん葉に赤化症状を示す病害としてニンジン黄化ウイルスが疑われたことから、症状を呈する株について、本ウイルスORF2タンパク質の遺伝子領域を特異的に増幅するプライマーを用いてRT-PCRを行ったところ、すべての株から目的の増幅産物(211 bp)が得られた。また、このORF2タンパク質の遺伝子領域の塩基配列を既報のイギリス分離株と比較したところ高い相同性(96- 98%)が確認された。これらのことから本症状はCarrot red leaf virus によるニンジン黄化病と判断された。本ウイルスはセリ科植物を伝染源とし、汁液伝染はせず、ニンジンアブラムシ、ニンジンフタオアブラムシにより永続伝播をするとされている。株に寄生していたモモアカアブラムシを採取して伝播試験を行ったが発病はみられなかった。媒介種については不明であるが、本症状が確認された場合、すみやかに抜き取り健全株への伝染を防ぐことが重要である。

                                            (ホクレン農業総合研究所・中央農試)

写真 にんじんの黄化病(ホクレン農総研 原図)

 

写真 にんじんの黄化病(ホクレン農総研 原図)


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