北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成26年度新発生病害虫]


ばれいしょのダイズウスイロアザミウマ(新寄主)

 

  平成266月中旬に、長沼町の中央農業試験場内のばれいしょほ場において、葉裏にアザミウマの寄生が認められた。当初は1小葉あたり成虫1〜数頭程度の寄生で、寄生部位付近は葉面が白くかすり状に脱色していた。その後、日時の経過に伴って寄生密度は高まり、7月上旬には幼虫の寄生も認められた。同中旬には葉の裏面全面に寄生および白色かすり状の食痕が広がった。この食痕は、7月下旬には淡褐色に変色し、被害株は早期に枯凋が進んだ。発生したアザミウマは、雌成虫は体長1.21.4 mm、体色は全体に暗褐色で、翅は基部1/4程度は透明で先端3/4は褐色を呈する。触角は全体に褐色で、第3節および第4節基部は黄色を呈する。前胸背板は後縁に3対の後縁刺毛を伴う。雄は1 mm程度と小型で体色は黄色である。発生種は、横浜植物防疫所東京支所桝本雅身氏により、ダイズウスイロアザミウマThrips setosus Moultonと同定された。本種は広範な植物に寄生するとされ、トマトやなすでの加害事例が知られるが、北海道での作物加害事例ならびにばれいしょでの加害事例はこれまでない。ばれいしょ以外では、近隣場の大豆、てんさい、きゅうりにも寄生が認められたが、寄生密度はいずれも低かった。なお、発生場は殺虫剤無散布で、殺虫剤散布を実施していた隣接場では本種の発生はほとんど認められなかった。

                                                                    (中央農試)

写真 ばれいしょのダイズウスイロアザミウマ(岩ア 原図)

写真 ダイズウスイロアザミウマ成虫(岩ア 原図)


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