北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
ダイズサヤタマバエ(新発生)
平成25年10月上旬、渡島地方で収穫されたえだまめの莢の表面に部分的な褐変が認められた。このような莢の内部は、子実の一部や子実周辺が食害を受け、体長3 mm程度、橙黄色の幼虫や赤褐色から黒色を呈する蛹が認められた。また、子実や莢の内面に白色の菌糸(かび)を伴う事例があった。蛹からは、数日中に体長3 mm程度、小型のハエが羽化した。羽化に先立って莢から蛹の頭、胸部を露出させるため、羽化後には莢表面に蛹殻の付着が認められた。羽化成虫の体色は灰褐色で胸部はやや赤みを帯びる。脚は細長く黒色で後脚脛節は灰黒色である。発生種は、九州大学の湯川名誉教授により、ダイズサヤタマバエAsphondylia yushimai Yukawa et Uechiと同定された。本種は大豆やハギ類、ツルマメなどの豆科植物の若い莢内に産卵し、幼虫は莢の内部や子実を食害する。秋以降は豆類以外の冬寄主植物へ移動し、それらに寄生して越冬するとされる。現在まで確認されている冬寄主植物は北海道には分布しておらず、北海道での土着発生の有無は不明であり、春季に気流に乗って飛来した成虫によって発生が開始している可能性もある。本種は、晩秋まで成虫の発生が継続するため、晩生品種で被害が大きい傾向がある。平成26年には当該症状は確認されなかったが、渡島地方では平成24年にも莢の部分変色が問題になっており、同年にも本種による被害が発生していた可能性がある。
(道南農試・渡島農業改良普及センター本所・中央農試)
写真 大豆のダイズサヤタマバエ成虫(田原 原図)
写真 大豆のダイズサヤタマバエ被害と蛹(田原 原図)
写真 ダイズサヤタマバエの蛹殻(田原 原図)
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