北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
大豆のアズキゾウムシ(新寄主)
平成26年4月下旬、石狩地方において、前年収穫の大豆子実に孔が開く症状が認められた。被害子実は、表面に直径1.5mm程度の円形の孔が開き、体長2〜3 mm、赤褐色を呈するマメゾウムシの成虫が認められた。この成虫は色彩や形状からアズキゾウムシCallosobruchus chinensis (Linnaeus)と同定された。貯蔵中の小豆子実を加害することで知られるアズキゾウムシは小豆を寄主植物とし、平成24年には道内でも野外において成熟期の小豆莢に産卵することが確認されている。本種は飼育条件下において大豆子実内で発育を完了できるが、道内で収穫されて貯蔵中の大豆子実に対する加害事例はこれまでなかった。当該子実は、前年11月上旬に収穫し、無加温の倉庫内で保管後、2月上旬以降に常温に移されたとのことで、4月下旬の確認時には生きた虫が認められた。ただし本発生事例における成虫の侵入時期は不明である。本種は卵を子実や莢の表面に固着させる。被害の認められない大多数の子実については、卵の固着した子実が全体の16%程度に止まったのに対し、脱出孔の認められる子実は全てふ化済み卵殻の付着が認められた。このことから、これら被害粒は莢ではなく子実に直接産卵されたものと考えられた。飼育条件下では大豆の成熟莢表面に対する産卵も観察されたが、確認された被害事例については、収穫後に貯蔵条件下で寄生を受けたものと考えられる。
なお、マメシンクイガなど他種害虫の加害によっても、類似した直径2〜3 mm程度の円形の穴が生じることがあり、加害種の特定には注意が必要である。
(中央農試・石狩農業改良普及センター本所)
写真 大豆のアズキゾウムシ(中央農試 岩ア 原図)
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