北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成26年度新発生病害虫]
秋まき小麦およびとうもろこしのヒメサビスジヨトウ(新寄主)
平成19年10月中旬に、恵庭市の大豆畦間は種栽培の秋まき小麦において、発芽後の稚苗が消失した。当該部には、地表の大豆落葉下に高密度でヤガの老齢幼虫が認められた。また、同じ幼虫は症状の認められるほ場2箇所で共通して認められた。同様の症状は平成25年10月に十勝地方の小豆畦間は種栽培の秋まき小麦においても認められ、恵庭市での事例と同種の幼虫が採取された。幼虫は体色が褐色で、胸部から腹部の前方はやや暗色を呈する。また、腹部の背側方に不明瞭な小黒斑を伴う。これら幼虫は土繭を形成し、加温条件下では晩秋から初冬にかけて蛹化し、1月頃に成虫が羽化した。成虫は翅の色が褐色で、前翅外縁部が暗色、腎状紋付近に微細な白色小点を伴う黄色の小斑をもつ。羽化成虫により、加害種はヒメサビスジヨトウAthetis stellata (Moore)と同定された(帯広市、鳥倉英徳氏同定)。平成26年9月には札幌市の菜豆「大正金時」ほ場でも落葉下に幼虫の発生が認められた。本種は枯れ葉を好むことから、小麦では豆類の畦間は種栽培時に特異的に発生している可能性がある。また、本種は平成23年9月に長沼町の飼料用とうもろこし、平成26年8月に比布町の生食用とうもろこしの雌穂先端部に対する食害が認められた。雌穂への食害により、生食用では商品価値を失うが、飼料用とうもろこしでは実害はないものと思われる。
(中央農試・上川農試)
写真 コムギのヒメスジサビヨトウ幼虫(中央農試 岩ア 原図)
写真 飼料用トウモロコシのヒメスジサビヨトウ幼虫(中央農試 岩ア 原図)
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