北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


アロニアの黒斑病(新称)


 平成22年7月下旬に千歳市長都地区のアロニア栽培園において葉枯症状が発生した。葉では開花期頃に微細な褐色の斑点が生じ、果実成熟期頃には円形~不整形の大型病斑となり、多発すると落葉する場合があった。果実ではかさぶた状の病斑が認められた。罹病葉と罹病果の病斑部分から常法により菌分離を実施したところ、Alternaria属菌と思われる形態の菌が高頻度に分離され、単胞子分離株を葉と果実に接種したところ、病斑を形成し、接種菌が再分離された。分離株の生育適温は30℃付近、V8寒天培地上の培養10日目の菌叢と分生子の色はオリーブ色、分生子の形態は楕円形、倒棍棒形、倒洋なし形、卵形等、分生子本体の長さと幅はそれぞれ13.0~45.0(平均23.5)µm、6.5~15.3(平均10.8)µm、隔壁数は横が2~8、縦あるいは斜めが0~2、嘴部は無嘴または短円筒~短円錐形の小嘴で、長さは1.0~19.6(平均2.9)µm、分生子柄の幅は2.9~4.6µmであった。また、分生子の連鎖数は2~8個で分岐がしばしば認められた。これらから本菌の分生子の形態はAlternaria alternataに類似していると思われたが、同定上の重要な形態である連鎖数が典型的なA. alternataと比較すると短いため、病原菌をAlternaria sp.とし、本病はこれまで報告がないことから、病名をアロニア黒斑病として提案した。本病は千歳市の他、旭川市と伊達市でも観察されている。

(中央農試・石狩農業改良普及センター本所)


写真 アロニア黒斑病による葉の褐色斑点症状(中央農試 美濃 原図)


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