北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


りんごのツマグロアオカスミカメ(新寄主)


 平成25年6月上旬に旭川市のりんご園で新梢が褐変して萎縮する症状が確認され、6月中旬には幼果がカメムシ類に吸汁されコルク化する被害が発生した。採集したカメムシ類の幼虫を飼育し羽化した成虫から、本種はツマグロアオカスミカメ Apolygus spinolae (Meyer-Dür)と同定された((独)農業環境技術研究所 中谷至伸氏同定)。
 本種による被害は品種によって発生程度に差があり、新梢では早生ふじ系品種である「紅将軍」、「昂林」などに最も多く見られ、次いで「つがる」、「ひめかみ」、「ハックナイン」の順であった。幼果の被害は、新梢での被害が多かった早生ふじ系品種で多く見られたが、他の品種での差は小さかった。新梢被害率は最大で50%、果実被害率は最大で35%に達した。さらに9~10月には2次伸長の先端葉に吸汁痕も確認された。なお、被害があった園地では前年も同様の被害が観察されていることから、次年度も本種に対する被害に注意する必要がある。

(上川農試・技術普及課・農業環境技術研究所)


写真 ツマグロアオカスミカメにより吸汁跡がコルク化したりんごの幼果(技術普及課 小坂氏 原図)



写真 ツマグロアオカスミカメ成虫(技術普及課 小坂氏 原図)


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