北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成25年度新発生病害虫]
われもこうのべと病(新称)
平成23年5月、長沼町の露地栽培のわれもこう(品種:「蝦夷の富士」)で、葉に葉脈で囲まれた赤褐色角斑が現れ、病徴が進むと花茎にも赤褐色の病斑が現れた。また、病葉の裏には薄く霜状のかびが認められた。本菌の分生子柄は気孔から外表に表れ、長さは235〜388μmで、4〜6回叉状に分岐し、先端に卵形で透明の分生子を生成する。分生子は大きさ15.0〜21.2×11.9〜20.7μm、縦横比は1.15で、発芽管により発芽する。卵胞子は確認できなかった。本菌分生子をわれもこう(品種:「蝦夷の富士」)に接種したところ、5日目に原病徴が再現され、接種菌と同一の菌が観察された。また、バラに接種したところ11日目に弱い病原性を示した。Peronospora sparsa特異的プライマーによって増幅断片が得られ、rDNA-ITS領域の塩基配列はP. sparsaと99%の相同性を示した。形態的特徴はエゾワレモコウべと病菌(Peronospora sanguisorbae) とバラべと病菌(P. sparsa)に一致したが、宿主範囲にバラも含むことから本菌をP. sparsa Berkと同定し、本病をワレモコウベと病と提案した。
(中央農試)
写真 ワレモコウベと病による葉の赤褐色病斑(中央農試 栢森 原図)
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