北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


トルコギキョウの褐色根腐病(新発生)


 平成24年6月、北見市内のハウス栽培トルコギキョウ(移植約40日後)において、活着不良と萎凋症状が発生した。このハウスでは4品種(品種名不詳)が栽培されていたが、品種によって発生に差はみられなかった。発生株の根は褐変し、その表面には孔口付近に剛毛を有する亜球形の分生子殻が形成されていた。この分生子殻から単胞子分離によって得た菌株をふすま・バーミキュライト培地で培養し、培土と混和後にトルコギキョウの苗を移植したところ、萎凋症状が再現され、根の腐敗部分から接種菌と同様の菌が再分離された。分離菌の宿主上における分生子殻は直径約160µm、剛毛長は平均70µm、分生子は無色、単胞、3.7×1.5µmの長楕円形で2つの油滴が認められた。麦芽寒天培地上では黄色の色素を産生し、オートミール寒天培地上では亜球型でひも状の毛を有する分生子殻が形成されたが、培養が進むと毛は消失することがあった。分生子の特徴は宿主上のものとほぼ同様であった。これらの形態的特徴から分離菌をSubplenodomus drobnjacensis(Bubák) Gruter et al. と同定した。本病原菌による病害はトルコギキョウ褐色根腐病として青森県で発生の報告があるが、北海道においても発生していることが明らかになった。

(北見農試・網走農業改良普及センター本所)


写真 トルコギキョウ褐色根腐病による萎凋症状(網走農業改良普及センター 植松氏 原図)



写真 トルコギキョウ褐色根腐病による根の褐変症状(北見農試 山名 原図)


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