北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


ふきのフキヒメクキモグリバエ(新称)


 平成25年7月中旬に足寄町で収穫されたふきの葉柄表皮下に、ハエ類の蛹(囲蛹)が認められた。蛹はやや平たい長楕円形、大きさは全長3〜4mm、幅2mm程度であった。蛹の色は全体に白色で、前・後端に各1対備える気門のみが褐色を呈した。また、前気門は表皮から外部に突出した。これらの形状から、本種はハモグリバエ科のPhytomyza sp.(フキヒメクキモグリバエ:新称)と判断された。種名については精査中である。同様の被害は過去にも選別中に確認されているが、同年は被害が目立ったとのことである。過去に訓子府町でも同一種によるふき花茎の表皮下への寄生加害を認めた事例がある。また、長沼町の黄色水盤調査において、5月下旬、7月中旬〜8月上旬、9月中下旬に成虫が捕獲され、本種は年3世代を経過するものと思われる。従って、7月中旬の収穫時に認められた蛹は、5月下旬の産卵による第1世代(2回目)の蛹と考えられる。本種成虫は、体長3mm程度で体色は灰黒色、頭部は乳白色で、体色はナモグリバエに似ている。同種とは、体長がやや大きいこと、胸部背面の背中剛毛間に中剛毛を持つことで区別できる。なお、ふきにはフキクキモグリバエPhytomyza hasegawai Sasakawaも発生している。同種は食害部位が花茎内部であること、茎内に残る囲蛹が黒色、成虫の体長は5mm程度と大型で頭部が黄色である点で本種とは異なる。

(十勝農試・十勝農業改良普及センター十勝東北部支所)


写真 ふきの葉柄内で蛹化したフキヒメクキモグリバエ(十勝農試 岩ア 原図)



写真 フキヒメクキモグリバエ成虫(十勝農試 岩ア 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る