北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成25年度新発生病害虫]
かぼちゃの果実斑点細菌病(新発生)
平成9年以降、道内の西洋かぼちゃで果実に突起症状が発生し問題となっていた。本症状は果実に高さ5mm以上の角状の突起や1〜5mm程度のいぼ状の突起を形成する。突起症状が発生している株では葉やつるでも病徴がみられ、葉では水浸状の小斑点となり降雨が続くと葉脈に囲まれた病斑となる。つるでは水浸状に陥没し、やがて白色の紡錘形病斑となる。果実では、はじめ幼果に水浸状でやや陥没した病斑を形成し、やがて周囲が隆起する。初期の病斑からは細菌が均一に分離され、分離菌の噴霧接種によって症状が再現され、罹病部からは接種菌が再分離された。分離菌はグラム陰性、好気性の桿菌でKB培地上に蛍光性色素を産生、LOPAT試験ではTa群に属し、その他細菌学的性質、16S
rDNA領域の塩基配列および特異プライマーによるhrpZ遺伝子領域増幅産物の有無による判別からPseudomonas syringae pv. syringae van Hallと同定した。本病菌によるかぼちゃの病害として平成22年に鹿児島県で果実斑点細菌病が報告されており、同一の病害と考えられる。一方、病原菌の鹿児島分離菌株および北海道分離菌株をかぼちゃ(西洋種、東洋種、ペポ種)、きゅうり、メロン、すいかに接種したところ、北海道分離菌株の病原性は鹿児島分離菌株に比較し弱く病原性に差が認められた。以上の結果から西洋かぼちゃの突起症状は果実斑点細菌病であるが、病原性のやや弱い系統によると考えられた。
(上川農試)
写真 カボチャ果実斑点細菌病による葉の小斑点症状(上川農試 新村 原図)
写真 カボチャ果実斑点細菌病による果皮の突起症状(上川農試 新村 原図)
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