北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


リーキの腐敗病(新発生)


 平成23〜25年に、北斗市の道南農試露地ほ場で栽培したリーキ(品種:「ポトフ」)で外葉が濃緑色で水浸状に腐敗して生育が停滞し、やがて株全体が軟化腐敗する症状が認められた。病斑部を検鏡すると細菌の噴出が観察され、罹病組織から同一で無色のコロニーを示す細菌が分離された。分離細菌をリーキ「ポトフ」に接種したところ、葉の先端から濃緑色で水浸状に腐敗する症状が再現され、病斑部から接種菌が再分離された。本細菌の性質はグラム陰性で蛍光色素は非産生、O-Fテストは発酵的に利用し、ゼラチンの液化、硝酸塩の還元は陽性、インドールの産生、フォスファターゼ活性、レチシナーゼ活性は陰性であることから、Pectobaterium carotovorum菌群と考えられた。さらに37℃で生育し、メリビオースからから酸を産生するが、ソルビトール、α-メチルグルコシド、パラチノース、D-アラビトール、イヌリンから産生しないこと、クエン酸を利用することなどから、Pectobacterium carotovorum subsp. carotovorum (Jones) Hauben et al. と同定された。以上から、リーキ腐敗病の発生を確認した。

(道南農試)


写真 リーキ腐敗病による腐敗症状(道南農試 堀田 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る