北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


レタスの株枯病(新発生)


 平成25年4月、むかわ町のハウス無加温栽培の春どりレタス(品種「春P」)ほ場において、収穫期を迎えた株に生育不良や結球不良が発生した。このような株は地際部が黒変腐敗し、容易に根部から離脱する状態であった。地際部の黒変部分から常法により病原菌の分離を行ったところ、同一の糸状菌が高頻度に分離された。分離菌を培養し、ポリポットで生育したレタスの株元に接種したところ、もとの病徴が再現され、接種菌が再分離された。分離菌はPDA平板上で暗褐色ビロード状の菌そうで、周縁部は扇形が連続したような形態であった。生育温度は25℃付近が最適で30℃での生育はわずかであった。培地に1N NaOHを滴下した場合の変色反応は弱かった。罹病植物上に形成された分生子殻は暗褐色球形で、分生子は無色、楕円形から円筒形でまれに隔壁が1つあり、大きさは平均5.7×2.6µmであった。また、rDNA-ITS領域の塩基配列を調べたところPhoma exiguaと99%一致した。これらから道内においてP. exigua Desm.によるレタス株枯病の発生が確認された。

(中央農試・胆振農業改良普及センター東胆振支所)



写真 レタス株枯病による地際部の腐敗症状(中央農試 小松 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る