北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


かぶの腐敗病(新称)


 平成24年4月、北斗市のハウス栽培のかぶで、収穫期に下位葉が激しく腐敗し、根冠部の表面が褐変し、その内部が水浸状に腐敗する症状が認められた。さらに出荷後の根部表皮に褐色のしみ症状が発生した。各症状の病斑部を検鏡すると細菌の噴出が確認され、 King’s B培地中に水溶性黄緑色の蛍光色素を産生するPseudomonas属の細菌が多数分離された。分離細菌をかぶに噴霧接種したところ、はじめ接種葉に小斑点が生じ、葉全体の黄化が認められ、根冠部は褐色病斑が現れ、水浸状に進展するなど、症状が再現された。根の内部には維管束部が褐変する症状が認められた。いずれの病斑部からも接種細菌が再分離された。病原細菌はグラム陰性、OFテストは酸化型、41℃で生育せず、LOPAT試験ではWa群に属した。さらにグルコン酸の酸化、硝酸塩の還元は陽性であった。以上から、病原細菌はPseudomonas marginalis pv. marginalis (Brown) Stevensと同定された。本細菌によるかぶの病害は本邦で未報告であることから、病名をカブ腐敗病と提案した。

(道南農試・渡島農業改良普及センター本所)


写真 カブ腐敗病による下位葉の腐敗と根冠部の褐変(渡島農業改良普及センター 結城氏 原図)


新発生病害虫一覧へ戻る