北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構
[平成25年度新発生病害虫]
かんしょのつる割病(新発生)
平成24年7月、北斗市の道南農試露地ほ場のかんしょ(品種:「コガネセンガン」)で、地上部の生育が停滞し、下葉が黄化したり紫色に変色する症状が発生した。茎では褐色のすじ状病斑が現れ、表面に淡桃色の分生子が形成され、茎内部には導管部の褐変がみられた。激しく発病した株では、茎の褐色部が裂けてつる割症状となり枯死した。病原菌を分離したところ、同一の菌叢を示すFusarium属菌が多数分離された。分離菌はPDA培地上で白色~淡紫色で綿毛状の気中菌糸を生じ、裏面は淡紫色~紫色に着色する菌叢を示した。SNA培地上で大型分生子および小型分生子を形成し、大型分生子(33.3×4.1µm)はほとんどが3隔壁で、分枝または非分枝の分生子柄上のモノフィアライドから形成された。小型分生子(8.9×3.4µm)は単胞で短い分生子柄上のモノフィアライドから擬頭状に形成された。厚膜胞子(9.4×8.6µm)は頂生又は間生に形成された。これらの形態からFusarium oxysporumと同定した。分離菌をかんしょ(品種:「ベニアズマ」)に苗浸漬接種したところ、原病徴と同様の症状が再現された。小川ら(1988)の報告に従い、かんしょ以外のヒルガオ科4植物に接種したところ、そらいろあさがお(品種:「ヘブンリーブルー」)のみが発病し、報告と一致したことから、Fusarium oxysporum Schlechtendhal f.sp. batatas (Wollenweber) Snyder et Hansenと同定し、つる割病の発生を確認した。
(道南農試)
写真 サツマイモつる割病による茎のつる割れ症状(道南農試 堀田 原図)
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