北海道病害虫防除所
北海道立総合研究機構

[平成25年度新発生病害虫]


とうもろこしの炭疽病(新発生)


 平成24年8月、標茶町の飼料用とうもろこし(品種「39F83」、「39M48」)で、葉に小斑点が現れ、これが拡大して紡錘形や楕円形の褐色病斑となる症状が発生した。病斑はやがて中心部に黒点が発生するとともに、融合して褐色の大型病斑を形成した後、黒褐色となって葉全体が枯れ上がった。病斑の黒点部を検鏡すると黒褐色の剛毛が認められ、周辺に特徴的な鎌形の分生子が密生していることから、Colletotrichum属菌で、とうもろこしにのみ寄生するgraminicola種と考えられた。Modified Weitzman-Silva-Hunter 寒天(WSH)培地で形成された鎌形の分生子は、大きさが32.2×5.4µm、剛毛は隔膜(主に3隔膜)を有し、128.0×3.0µmであった。分離菌を飼料用とうもろこし3品種(「39B29」、「たちぴりか」、「クウィス」)に接種したところ、いずれも発病が認められた。以上から、病原菌はColletotrichum graminicola (Cesati) Wilson と同定され、炭疽病の発生を確認した。

(道南農試・釧路農業改良普及センター・根釧農試)


写真 トウモロコシ炭疽病による葉の小斑点症状(道南農試 堀田 原図)


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